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中沢元紀さんとBLが好きです。

聴こえなのは、お前のせいじゃないだろ――「ひだまりが聴こえる」第一話感想①

ひだまりが聴こえる
第一話「聴こえないのは、お前のせいじゃないだろ」①

 

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(画像引用させていただいております)

 

 

ストーリー

難聴になって以来、人と距離を置くようになってしまい独り静かに過ごしていた大学1年生の杉原航平(中沢元紀)。そんな時に出会ったのは、明るくまっすぐな性格の同級生・佐川太一(小林虎之介)だった。お腹を空かせていた太一にお弁当をあげたことがきっかけで、太一は航平のノートテイクのボランティアを引き受けることに。土⾜で航平の⼼にずかずかと踏み込んでくる太一の性格に、いつしか居⼼地の良さを感じるようになった航平は…。
ノートテイクを介して繋がってゆく、不器⽤な2人の⼼を繊細に描いた、切なくも儚いヒューマンラブストーリー。

 

 

 

(画像引用させていただいております)

第一話あらすじ

大学入学早々、バイトをクビになった太一は、なけなしのお金で昼食代わりにドリンクを買う。しかし、うっかり落としてしまい、ドリンクは小さな林の中へと転がっていった。太一は慎重に林に足を踏み入れるが、足が滑って転がり落ちてしまう。ようやく止まって、視線を上げると、こちらを見つめている航平と目が合う。航平のお弁当をおいしそうに見つめる太一へと無言でお箸を差し出し、その場から立ち去る航平。

 

航平が聴覚に障がいがありノートテイクを募集していることを知った太一は、お弁当のお礼にノートテイクをやらせてくれと申し出る。ノート一回につき、お弁当一個でノートテイクをすることになる。

 

人と距離を置く航平へと屈託のない態度で接する太一。航平が難聴だと知ってもごく普通の態度を崩さない。そんな様子に、頑なだった航平の表情がほんの少しほころぶ。

 

ある日、航平がお弁当を忘れ二人は学食で昼食を食べることに。そこへ、航平に絡んでくる輩が現れ、暴言を吐く。太一は思わずそいつを殴りつける。

 

「なんで太一はあいつを殴ったの? 太一には関係ないんだからほっとけばよかったのに。俺にはどうせ聴こえないんだし」、と告げる航平へと「違うだろ。聴こえなかったとしても、なに言ってもいいわけない。聴こえないのはおまえのせいじゃないだろ」、とまっすぐに航平を見つめながら力強く太一は言う。

太一の言葉に航平は涙を流す。

 

感想(ネタバレあり)

中沢元紀さんと小林虎之介さんをこの作品で初めて知りました。

第一話冒頭から、二人の演技に一瞬で心を鷲づかみにされ、この作品は絶対に良作だと確信。

第一話視聴後、航平と一緒に私も泣いていました。

一話目でこんなに感動して涙するドラマを観るのは久しぶりで、この先のストーリー展開がどうなるのかとても楽しみでした。

もうひだキコを何周も視聴してからの感想ですので、新鮮味に欠ける部分もあるかと思いますが、ご容赦ください。

長くなったので二回に分けます。感想書くのって難しいですね……。

 

冒頭、雨宿りをする航平と太一。

 

「太一……」

「んっ?」

「俺さ……、なんか急にわかった」

「なにが?」

「太一にすごく会いたかったんだって……」

「えっ?」

「太一がおいしそうにごはん食べてるのを見ると、すごく安心する」

「なんだそりゃ」

「太一がおいしいって言ってると、なんかこっちもうれしくなって」

 

少し会話が途切れ、ずっと太一を見つめながら、なんともいえない表情で航平は続けます。

 

「やだな……」

「えっ?」

「あれが聴こえなくなるのは、やだな……」

 

喉仏をひくつかせ、唇を細かく震わせ、涙ぐむ航平。

とても辛そうな様子に、なにか深刻なことが航平にはあるのだと感じさせられました。

と、突然、航平が耳を両手で塞ぎます。

 

「航平! 大丈夫か? 航平!」

 

心配する太一を、航平は言葉なく見つめます。


〈あの日、航平は俺の目を見てなにかを語りかけていた。

声にできない、なにかを――〉

 

最後に、太一のモノローグでこのオープニングシーンは終わります。

 

いや、もうこの冒頭のシーンで心を丸ごとかっさらわれました。めちゃくちゃ引き込まれた。それくらいの吸引力を持っていました。

いったいこの二人の間になにがあったのか、続きが気になって気になって。このシーンで視聴者の興味をバッチリ引いたと思います!!

 

中沢さんと小林さんの演技が巧くて、違和感を覚えることなく、スッとストーリーに入っていける感じもよかった。安心感があります。ちょっと俳優さんの演技に引っかかってしまうと、その後もそれを引きずってしまって、ストーリーに浸ることができなくなってしまうので、演技力のある俳優さんだととても安心して観れます。

それにしても、中沢さんと小林さん、いい俳優さんだなぁ。

 

中沢さんの品のある控えめで優しい顔立ち。派手なタイプではないけれど、画面の中に自然と馴染んでいてとても安定感がある。そして、その美声。最初聴いた時、なんて深みのあるイケボなんだと度肝抜かれました。いつかナレーションとかの声のお仕事くると思います。全身から滲み出る人柄の良さ。笑うとえくぼができて、とても素敵。儚げで影をまとった航平最高です。どなたかが、守ってあげたくなる攻めと航平を表現されていたのですが、まさにそれ。

一方の小林さんはキリッとした顔立ちで、意思の強そうな瞳が印象的。すごく存在感がある。小林さん演じる太一はとても元気いっぱいで、画面に映るだけでパッとその場が明るくなる。太一を演じるのはけっこう疲れると言っていたけれど、うまく役を自身に落とし込んでいて、無理のない太一を演じていると思う。めちゃくちゃいい意味で自然。

 

ひだキコのメインビジュアルを観た時には、なんだか最近のBLドラマにしては、地味というか、素朴だなぁと思っていました。ですが、全話視聴したあとは、これでいい!これがひだキコの世界観なんだよ!とものすごく納得がいきました。

このなんでもない「普通」の日常感を感じることがとても重要。

私たちが実際に生活しているこの世界と同じ世界線に彼らが存在しているかのような、今にも、並んで歩く航平と太一に、どこかの街角ですれ違いそうな、そんなリアリティがあります。

 

さて、本編へと戻りましょう。

バイト先の中華料理屋で食い逃げをしようとした男をとっ捕まえようとし、落ち着けと羽交い締めにした店長に勢い余って肘鉄を食らわせてしまい、あえなくクビになった太一。(説明長いな。笑)けっこう短気というか喧嘩っ早い感じ。

 

大学の友人のヨコ、ヤスが昼食を食べに行こうとするのを尻目に、太一には昼食を食べるお金もなく、空きっ腹を満たそうとなけなしのお金でドリンクを購入。残金わずか7円……。どうやら太一は苦学生なのでは?と思ったシーンでした。

ところが昼食代わりのドリンクをうっかり落としてしまい、おむすびころりんのごとく勢いよく道を転がり林の中へと落ちていきました。太一は坂を慎重に下りようとしますが、足が滑って物の見事に落下。

 

〈落ちる時は、とことん落ちるのか……〉

 

と、ヘコむ太一。ツイてない時って、なぜか連続して不運な出来事が起きますよね。あの現象っていったいなんなんだろう。ほんと不思議。

ふと太一が視線を上げると、こちらを見つめている航平と目が合います。

ハッと太一は起き上がって「お邪魔します!」(正座しながら)と元気よく挨拶。

航平は訝しげながらも、頷く。

航平がすごくおいしそうなお弁当を広げているのを目にして、うまそう!と近寄り、食い入るように見つめる太一。そんな太一に、航平は静かにお箸を差し出します。

さて、これからお昼だ、というところに、いきなり見知らぬ誰かが現れたら(しかも上から落っこちてくる)ビックリしますよね。しかも、その相手にお弁当を譲ってくれる航平って、優しい人なんだろうなというのが窺えるシーン。

いただきます!と、おかずを頬張り、超うまい!と目を輝かせる太一の笑顔がとてもかわいらしい。溌剌として観ていて気持ちよかった。

お弁当に口をつけたものの、自分が食べてしまったら航平の分が……、と気づきますが、航平は立ち上がってそのまま去って行ってしまいます。

二人は一言も言葉を交わすことがありませんでした。

 

このシーンだけを観ると、太一と航平は正反対の性格の持ち主に見えます。

太一は明るく元気で、表情が豊か、初対面の人にも物怖じせず近づいていける。

対して航平は、物静かでどこか人を寄せつけない雰囲気を持っている。表情も乏しい。

そんな二人がこうして偶然に出会い、この先どうなっていくのか、とてもワクワクします。

 

航平のことを話したのでしょう。ヨコとヤスが航平について太一に教えてくれました。

杉原航平。法学部の一年でちょっとした有名人。その理由は、聴覚に障がいがあり、ノートテイクをしてくれる人を募集しているから。それに外見もよく女の子にモテる。でもそのせいでやっかまれていて上級生に目をつけられているらしいこと。

掲示板に張りだされているノートテイカー募集の張り紙を見て、太一は真剣な顔つきでなにやら考えている様子。この時の顔がとても凜々しい。

 

※ノートテイク・・・聴覚に障がいがあり、講義内容を理解するのが困難な生徒の為に、講義内容をまとめ通訳すること(作中より文章を引用させていただきました)

※ノートテイカー・・・ノートテイクをやる人のこと。

 

講義を受けている航平の耳に聴こえてくる声や音は、くぐもり、濁って、エコーがかかっていて、とても聞きづらい音です。はっきり言えば、不快です。こうやって聴覚に障がいがある人が普段どんなふうに音が聴こえているのかが表現されていて、こんなふうに聴こえているんだと初めて知りました。常日頃から、このような音とともに生活を送ることは、とてつもなくストレスがかかるだろうと容易に想像できました。

教授の話す内容もよく聞き取れていないようで、他の生徒たちが前を向いて講義を聴いている中、航平は一人窓の外を見つめています。頬杖をつき、溜め息をつきながらどこか諦めている様子に、胸が痛くなりました。

 

 

次回に続きます。